父がでしゃばり動画失敗!? 紙飛行機動画第二弾
あらくんチャンネルの記録 その8
「こんど紙飛行機の第二弾やろう!」
息子が嬉しそうに言った。動画のためうんぬんではなく、息子は最近紙飛行機飛ばしにはまっていて、いろんな飛行機を折って試していた。
前回の紙飛行機動画ではいろんな種類の紙飛行機を折ってその滞空時間を競った。
同じことをやっても面白くないので、私は同じ紙飛行機でも違う内容でやろうと提案した。
すると息子はちょっと考えて答えた。
「ギネス記録の紙飛行機の作り方とか」
紙飛行機の作り方紹介の動画は悪くない。実際、YouTubeでのものづくりのハウツーは人気ジャンルだ。
ちなみに、息子の言うギネス記録の紙飛行機とは、海外の紙飛行機作家が考案した紙飛行機の折り方で、飛行距離でギネス記録を出した紙飛行機のことだ。
たしかにそれも悪くないが、私はすでにその解説動画の存在を知っていた。というか、息子はその動画を見て折り方を知ったのだ。
「それじゃただのパクリだから、ちょっと工夫しようか」
私はそう言って続けた。
「いろんな種類の紙でギネス記録の紙飛行機を折って、どの素材と大きさが飛ぶか検証しない?」
息子とYouTube動画を作るようになってから、私はよくYouTubeを見るようになった。
いろんな人気チャンネルを見ると、スライム作り、コーラにメントスを入れて噴射させるメントスコーラなど、扱う題材はかなり被っている。
でも誰が紹介するかでその魅力や動画の面白さはかなり異なる。
どんな切り口でどんな演出で描くかが重要なのだ。
というわけで今回は紙の違いでの飛び方を比較することにした。
息子と一緒に紙を選びに行こうと考えていたが、近所に良い感じの店がなかった。独断で私が会社帰りに東急ハンズで数種類の紙を買ってきた。
私のイメージだと、形状の安定する固めの紙がうまく飛ぶように思えた。さらに薄い紙の方が軽くて良く飛ぶと思えた。
店の商品棚をみた結果、A3サイズのケント紙(丈夫で固めで比較的薄い)が一番良いんじゃないかと思えた。
一番の良さげな紙をキープして、他にも比較用でB5の画用紙やA1の特大ケント紙などを買った。店員にA1の特大サイズを棚から出してもらうと、もしこの紙で折った紙飛行機が綺麗に飛んだら息子は相当喜び、面白い動画に仕上がるだろうと思えた。
実は前回の紙飛行機動画は紙飛行機がうまく
飛ばず、あまり動画映えはしなかった。でも今回は準備万端。空を一直線に飛ぶ美しい紙飛行機の映像がイメージできた。
そして週末。いよいよ紙飛行機第二弾の動画制作がやってきた。
息子は撮影を重ねるごとに演技が上手くなるとか、こなれた感じというのは全くでてこない。
相変わらず微笑ましい感じの素人感が抜けない感じで紙飛行機企画を説明した。
その姿が息子の素直な性格がよく出ていて私は好きだった。
撮影は息子の提案を取り入れ、まずはギネス記録の紙飛行機の折り方を紹介した。
撮影は最近料理動画でトレンドの俯瞰撮影で行った。
撮影に三脚に取り付ける専用のスライダ式のバーを使用した。
実はその機材は私が趣味のインスタグラムでたまに料理動画を投稿して、その撮影で使うために持っていたのだ。
折り方の説明で使ったのはA4のコピー用紙。撮影では、息子は私の予想を上回る丁寧な解説をしながら紙飛行機を折った。撮影していると、親のイメージを超えて子が成長していることに気がつくことがある。嬉しい瞬間だ。
しかし、解説を終えて他の紙で紙飛行機を折り始めると予想外の反応が返された。
「この紙、固くて折りづらい」
まさかの結果である。
最初はB5の厚い画用紙だったからと思ったが、1番飛ぶと予想して買ったA3ケント紙もダメだった。
一応折れてはいいるのだが、紙の固さと厚さのせいで折り目が浮いて紙が密着されずに形がフワフワとしてしまうのだ。
試しに部屋で飛ばしてみると、壁までつかず墜落した。
残念そうな息子の顔を見ると私もショックだった。
父親が勝手に買ってきた紙が全然ダメで楽しみにしていた紙飛行機動画が台無しになろうとしている。
怒り出すかなと覚悟したが、息子は意外なことを言った。
「コピー用紙の紙飛行機がメインだから大丈夫!外だったら飛ぶかもしれないし」
本心なのか、父を気づかったのか分からないが、少し救われた。
その後、公園で紙飛行機を飛ばして検証した。
まあ、結果はほぼ予想通り。 ある紙飛行機以外は飛ばなかった。でも一つまともに飛んだからまだましか。
そして完成したのがこちらの動画。
編集して思ったのが、紙飛行機が飛ばず散々な結果だったが、その失敗も後から振り返れば楽しい思い出になったかなと。
でも、誰もが驚きそうな美しい紙飛行機の飛ぶ姿を撮ってみたいというのが本音。またリベンジかな。